Cleaner 581 – LL – Jan.2017

Reviewed by LL – in  13.Jan.2017
http://listening-log.hatenablog.com/entry/2017/01/13/220408

90年代からノイズやミュージック・コンクレートの分野で活動されていて、今までに100タイトルを超える作品をリリースしているサウンドアーティストということですが、私はこれを手に取るまで全く知りませんでした。内容はモノトーンな持続音だったりノイズ的な音色のレイヤーで描かれるアンビエント(?)みたいな感じで、それが11曲70分を超える容量で収録されているのでかなりダレそうなものですが、不思議なくらい最後まで集中力を切らさず聴き通すことのできる作品になっています。ボーっと聴くとずっと同じような音が出ているだけに聴こえる部分も多いんですが、同じ音が鳴り続けるにしてもその音量だったり定位が微妙に変化していたりで、そういった細かな部分が積み重なって結果的に生まれたのがこの聴き心地なのかなと。絶妙に表面がくすみ、ザラついたような音の質感も見事。あとアルバムは序盤から一般的な意味での和声を外れるようなノイズ的な音程(というか音響というか)の積み重なりが多いんですが、8曲目辺りから和声的なやや明るいトーンの音を入れてくる構成が本当にズルいくらい効果的で、これがあるおかげでどうしても通して聴きたくなってしまいます。最初のほうの曲を聴いてるうちは聴き終わったあとこんなに充実感?みたいなものに満たされるとは思いもしなかっただけに余計嬉しくなってしまうような一枚でした。なんとなく買ったものだったのですが、これは本当に出会えてよかったと思える作品。